「文庫本を読む人」 [雑記]
その店は、引っ越してきてから一度行ったきりでした。
ところが、この数年なぜか、繁く行くように。
まぁ、他に佳い店がないということもありましょうが、なんとなくなじめる店だと感じたからなのでしょう。
最近、「ハイサワー」がおいしいからだと気がつきました。
ところが、通い始めると困ったことが。
いらっしゃる皆様、皆々おなじみさんらくし、つまりは「ご近所の、小商いの商店主の寄り合い所」だと。まぁ、これは、勝手に私が言っていることなのですが。
声高に政治のことを語るおじさん(これは、どこにでもいますね)、テレビを眺めてその内容について蘊蓄を語るおじさん(不動産屋)、誰からかまわず話しかける酔っぱらいのおばさん(おかっぱ頭をしていることから、密かに「干し首」と呼んでいます)、家業を放ってチェーン店の居酒屋に家作を貸しているもののそのことについて、不平をだらだらと語るおじさん(豆腐屋)、などなど。
そういうことどもから何とか離れていようと思ったのが、「本」でした。
週刊誌を、小説を、ノンフィクションを読む、読む。
まずは店主から、「この客は、そういう人」と認識してもらい、次第に、常連客も「あぁいう奴なんだ。」と思ったようです。
おそらく、居酒屋に来て本読んでる姿を見て「すかした奴」と思われているでしょうし、そのことは、承知の上。
ところが、最近では、少し話をする御常連もでてきましたし、その方々と別の店に行ったりして。
とはいえ、(文庫)本は、私にとってシェルターみたいなものです。
でも不思議です、大塚の居酒屋の精華や、バーに行くと不思議に本を読もうと思わない。
そんな店で「のんべえ春秋」も読んだのでした。
「のんべえ春秋」(木村衣有子・木村半次郎商店)を読んで。
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